組織も人も、変わることができる ~成人発達理論が教える「大人の成長」~

「もう大人なんだから、これ以上は変わらない」
そんな言葉を聞いたことはありませんか。

でも実は、

人は大人になってからも成長し続けるという考え方があります。

それが、今回ご紹介したい成人発達理論 です。


成人発達理論は、知識やスキルの量ではなく、

それらを使って世界をどう見ているか
どんな“前提”で物事を捉えているか

──つまり
意識や思考の土台そのものが、生涯を通じて発達すると考える理論です。

この考え方を、私は「世界を見るレンズが変わっていくこと」と表現しています。

同じ出来事が起きても、人によって受け取り方がまったく違うのは、このレンズが違うからです。


成人発達理論では、人の意識にはいくつかの段階があるとされています。

ここで大切なのは、優劣ではなく、見えている世界の違い だということです。

ごく簡単に整理すると、次のように説明できます。

自分の目的達成が最優先。
他者は目的のための手段になりやすい状態。

周囲の評価や指示が判断基準。
「どう思われるか」に強く影響される。

自分の価値観や判断軸を持ち、自律的に動ける。
一方で、自分の考えに縛られやすい面もある。

自分の枠を超えて、他者の視点も取り込める。
他者の成長を支援することが、自分の成長にもつながる段階。

成人発達理論では、自分より先の段階は理解しづらいとも言われています。

だからこそ、「話が通じない」「わかってもらえない」というすれ違いが起きやすいのです。


この理論でよく使われる言葉に、垂直的成長 があります。

これは、資格が増える、役職が上がるといった「横に広がる成長」ではありません。

言い換えるなら、人としての器が深く、大きくなる成長 です。

たとえば、

  • 耳の痛いフィードバックを受け取れるようになる
  • 正解が一つでない状況に耐えられる
  • 他者の価値観を否定せずに理解しようとできる

こうした変化は、スキル研修だけではなかなか起きません。


成人発達理論の視点で見ると、人は「教えられて」変わるのではなく、
自分のレンズに気づいたときに変わり始めると言えます。

コーチングは、答えを与えるものではありません。

  • 何を前提に考えているのか
  • どこで思考が止まっているのか
  • どんなレンズで世界を見ているのか

そうした部分を、対話を通して一緒に見つめていくプロセスです。

だからこそ、大人の学びや成長と、コーチングはとても相性が良いのです。


成人発達理論が伝えてくれる一番の希望は、人は生涯を通じて成長できる存在だという点です。

今の自分を否定する必要はありません。
でも、「この考え方しかない」と決めつけなくてもいい。

少しずつレンズを磨き、ありたい自分に近づいていく。

そのプロセスに、コーチングという伴走の形があります。

もし今、

  • 自分の成長に限界を感じている
  • 同じところで悩み続けている
  • もっと視野を広げたい

そんな思いがあれば、一度立ち止まって、対話してみませんか。


『組織も人も変わることができる!
なぜ部下とうまくいかないのか「自他変革」の発達心理学』

著:加藤 洋平
出版:日本能率協会マネジメントセンター